神田憲行氏最新ペトナム情報 2001/2/12

■ベトナムで10万ドン札発行
 これまで最高額紙幣は5万ドン札だったのが、10万ドンも新た
に発行されていました。1000ドンが約7円ですから、700円
程度の価値でしょうか。茶色でひと周りぐらい大きい。ただまだあ
んまり出回っていないそうで、ハノイでは「これは偽札だっ」と突
き返された実例アリ。

■増える麻薬患者
 コカイン、ヘロインのジャンキーが増えているもよう。私も文庫
本で「白いアオザイの秘密」で書いた女性が、ヘロイン中毒で廃人
になったと知人のベトナム人から聞きました。行き先もわからず、
たったひと晩とはいえ関係した女性がそうなったことに呆然とする
思いです。

■増える犬誘拐
 ジャンキーたちが麻薬を買う資金にしているのが、飼い犬の誘拐
です。普通は犬市場に売り飛ばしてしまうのですが、日本人駐在員
の犬が誘拐され、身代金要求の電話がかかったきたケースもありま
す。いつその対象が小さな子どもになるのか、ちょっと怖い感じが
します。

■増えるネットカフェ
 サイゴンではネットカフェが大流行。一分300ドン、一時間で
1万8千ドン(約126円)です。ただし回線のスピードは超遅い。
ひどいときは300bpsになるときもあるとか。ちなみに私はサ
イゴンのネットカフェから、ヤフーのチャットに乱入して
「ベトナムからでーす」
 とやったのですが、みんな
「ふーん。そーなんだー」
 と誰も驚いてくれませんでした。

■ドン安止まらず
 1ドルが1万4千500ドンでした。僕がいた92年は1万1千
から2千ドンでした。とくにテトは海外在住のベトナム人が大量に
米ドルを交換するので、一時期は1ドルが1万ドンを割ることもあ
りました。それがテトがおわってすぐのこの時期で、このレートと
は、そうとうドンが安くなっているという感じがしました。

■増えるロシア人
 バンコクでのこと。とある路地裏でタイ人の男たちがたまってい
たので、のこのこ出かけてワケを訊ねました。するとなんとそこは
ロシア人娼婦たちの置屋になっていて、みんなそこに「買い」に来
ていたのです。ショートタイムで1000バーツ、タニヤで日本人
を相手するタイ人の娼婦でもショートで1500程度ですから(聞
いた話ですよ)、激安といってよいでしょう。
 ソ連が解体してたった10年、あの大国がこうまで落ちぶれてし
まうものなのでしょうか。タイ人にとってもやはり白人女性を相手
に出来るのは珍しいのか、みんな屋台で買ったカットフルーツをビ
ニールに入れて、それを長い爪楊枝で頬張りつつ、薄く笑いながら
女性を品定めしていました。吐き気を催すようなその光景に、国を
興すのは長い時間がかかるが、滅ぶのは一瞬だと痛感しました。日
本も他人事ではないでしょう。

神田憲行氏2000年7月版、ヴェトナム、タイ情報

 みなさん、ただいま。
 神田が2週間ちょいのタイ・ベトナムの旅から戻って参りました。お土産代わ
りに、現地の最新情報をお届けします。いらんかもしれんが。

【サッカーでサイゴン大騒ぎ】
 ユーロ2000がベトナムで放送されていることもあり、サイゴンでは大変な
人気。しかもほぼ全員が賭けている(笑い)

 一番人気はもちろんフランスで(彼らは選手の名前や戦力を的確に知っている)、
決勝とのイタリア戦はイタリアのハンデ無しということもあって、200万ドン
(約1万4千円)をフランスに賭けていた知人もいた。だいたい感覚的にいうと、
平均的ベトナム人の2〜3ヶ月分の月収である。中継はベトナムの深夜3時すぎ
まで及んだのだが、みんな道端にテレビを引っぱり出して、即席スポーツバーと
して観戦していた。

 で、試合はご存じの通り。ロスタイムにやっとフランスが同点ゴールを決める
や、ホテルの周辺から、掛け金が助かったベトナム人たちの大歓声があがった。
「ありがとう、フランス!!」
 独立からン十年、ベトナム国民が初めてフランスに心の底から感謝した瞬間で
あった。

【出回る偽札】
 ベトナムの最高額紙幣、5万ドン札(約400円)が市中に大量に出回ってい
て、私も入手した。その特徴は、(1)印刷されているホーチミンの肖像が、本
物に比べて陰気(笑い)(2)地に印刷されている「ベトナム銀行」という小さ
な文字が、偽札ではただの地紋になっている。

 そしてなにより決定的なのは、(3)偽札には発行年「1990」と記されて
いるが、その年に5万ドン札は発行されていない(本物には発行年は記されてい
ない)
 つまり「1990」と書いてあったら偽札というわけで、わっかりやすいなぁ
(笑い)

 私がどうやって偽札を入手したかというと、ふつーに町の両替所で両替しただ
け(笑い) 必ず1枚か2枚入っている。しかも、レストランやホテルでもふつー
に受け取ってくれる(笑い) お金にうるさいベトナム人が(少しでも端が切れ
ていると受け取ってくれない)、偽札に鈍感なのは納得できない。だからこの話
は眉唾かもしれない。

しかしそうなると、2種類の5万ドン札が出回っていることになる。二つはひ
と目で違うのである。しかも私にこのことを教えてくれた現地在住の日本人によ
ると、税金の支払いを偽札で行うと「これはニセモノですから」と没収されたと
いう。別の友人も「2万ドン札を検札機にかけたらニセモノと判定されて没収さ
れた」というから、偽札自体はやはり出回っているのかも知れない。

【番外・バンコク知事選】
バンコクの日本語フリーペーパー「ダコ」がバンコク知事選(市長選?)の候
補者の横顔を紹介していたのだが、これが面白い。

まず本命のサマック氏は駄洒落や放言で知られている人物らしく、公約も全部
駄洒落調(笑い) たとえば義務教育を現行の6年から9年に伸ばすことを
『兄さん姉さん驚くな、もう3年増えるかも』
という調子である。この人は「妻が金持ちで、私には73年から定収入がない」
ということをウリにしている。つまりカネに目がくらむことはないといいたい
のだろうが、そーゆー言い方でいいのか(笑い)

対抗馬のインテリ女史、スダラット氏の公約は
『屋台の食べ物をバーコード化して、売り子に全員英語教育する』
 というのだが、売り子が英語を覚えてバンコク市民はなにか得をするのだろう
か。よけい面倒ではないだろうか。この人は他にも
『有名校と無名校の教師を交換する』
というアイデアも。

屋台というのはどの候補(23人立候補している)も公約に挙げる重要課題ら
しく、6番手のウィナイ氏の公約は
『5バーツの屋台を300軒オープンさせる』
市場価格の3〜4分の一だ。かつて都知事選で「サラリーマンの昼飯を300
円に!」と訴えた候補者がいただろうか。わかりやすくて訴求力のある公約であ
る。

私が夜のお姉ちゃんたちに聞いて回った結果では(なんせ暇なんで)、人気が
あるのは女性虐待防止運動で有名なバウィナー女史だった。実際の選挙戦も、口
の上手い大衆政治家のサマック氏(前述)がリードし、それをバウィナー氏が猛
烈にまくっている感じらしい。投票日は7月23日だ。

疲れる同胞諸君。世界は、相変わらず、楽しいぞ。

神田憲行